FC2ブログ

『悪の教典』感想

 『悪の教典』感想。主演:伊藤英明 監督:三池崇
 公開当初、色々話題になっていたので観てみた。原作小説が発売した時に、新聞に広告が載っていて、大体の内容を表す一文もあったし、映画の粗筋も有名なので、観なくても大体の内容は判る。一見善良そうな教師が、生徒達を次々に惨殺する話。それだけの話のはず。なのに、観てみるとそれだけではない、エンターテインメントに仕上がっているのは見事としか言いようがない。監督の手腕と、主演の伊藤英明の力だろう。

 物語の前半は、終盤の惨劇に向けて色々なものを積み上げていく。主人公、蓮見にとって邪魔で鬱陶しい人物。利用するのに都合のいい教師や生徒。逆に蓮見がどこかおかしい、油断ならないと感じる教師と生徒。惨劇に使われる道具。生徒達の必死の抵抗の鍵となる道具。蓮見の計画の手助けとなる生徒の感情。または蓮見に思わぬボロを出させる感情。
 これらがごく普通の日常の中に、何でもないように散りばめられながら、後になって複雑に結びつき、影響し合っていくのが、本当に面白かった。この構成の見事さは元の原作小説からあるんだろうな、きっと。

 伊藤英明の好演が話題になっていたけど、観て納得した。今までそれほど気にしてない俳優だったのに、この映画の演技は見事。狂気を見せずに狂人を演じるのは、相当の計算と抑制が必要だろう。
 シリアルキラーは大抵IQが高く、理知的で、計算高い。ターゲットに安全に近づくコミュニケーション能力を持っている。つまり見た目は異常者でもなんでもなく、むしろ魅力的な人物なのだ。
 蓮見は犯罪の時も、別に狂気に走らないし、興奮もしない。ただ計画的に実行するだけ。テンションも一定で、どこも壊れていない。最初からこうだから。それがよくわかる人物描写だった。親とか家庭環境とか、関係あるとは思えない。
 そして伊藤英明はそんなふうにまったく冷静で、多少陽気に演じているんだけど、それなのにどっかおかしい、とちゃんと視聴者に感じさせるよう演じている。この匙加減がすごい。だって他のドラマに出れば全然普通なのに。というか人命救助しまくっているのに(笑)。
 しかし顔が元々わんこみたいだから、そういう顔で猟銃乱射されると怖さ倍増。まあキャスティングの妙ですな。
 あと、蓮見の住んでいる家が明らかにおかしい。あんなイケメンで生徒のあしらいが上手くて社会性のある人が、山中の廃屋みたいなボロ屋に住んでいること自体が異常の表れに思える。この辺の設定も上手いなー。


 ここからネタバレ。未視聴の方はご注意ください。

続きを読む

スポンサーサイト



テーマ : イラスト付映画感想
ジャンル : 映画

2014-01-28 : 映画 : コメント : 0 : トラックバック : 0
Pagetop
ホーム  次のページ »

プロフィール

まみや海峡

Author:まみや海峡
基本マイナー好きです。

検索フォーム